診療動物: 犬・猫・鳥・エキゾチック(ウサギ・ハムスター・フェレットなど)・ミニブタなど

[ 診療日記 ] ひろちゃんお疲れ様でした

2008/05/11

大切なスタッフの一員だったひろちゃんが4月30日に亡くなりました。
長い間私たちスタッフを癒してくれてありがとう。

[ 診療日記 ] こんなときには病院に連れて行きましょう 

2007/09/26

(リード)
ペットは人よりも先に歳をとってしまいます。大型犬では6~7歳、小・中型犬や猫では9歳前後から「シニア」と呼ばれる年齢になります。飼い主さんはシニア期を迎えたペットに対して、どんなことに気をつければよいのでしょうか?

(ごはんの食べ方の変化)
人間のお年寄りと若者で食事をするスピードが異なるように、ペットもシニアになれば若い頃よりペットフードを食べるスピードがゆっくりになります。これは自然なことです。しかし、硬いペットフードだけを食べなくなったり、いつも口の片側だけで食べるようになったら、シニアによく見られる病気「歯石の沈着による歯槽膿漏」が原因かもしれません。歯槽膿漏は口臭にも影響し、口臭がきつくなるほど歯槽膿漏が進行している可能性が高くなります。「なんだかお口の臭いが気になるな」と思ったら、早めに病院で診てもらうようにしましょう。
また、シニアの猫には腎臓の病気(腎不全について http://peterrace.jp/pre/sick/thema3/sick_26.html にリンク)が多いのが特徴です。フードはあまり食べないのに水ばかりを飲むようになったら、腎機能が低下してきている可能性があります。毎日の食事の様子をよく観察しておきましょう。

(態度の変化)
歳をとるにつれて、今までとはちょっと異なる態度が気になることがあります。今までどおりに接していても反応が鈍くなったり、昼間はずっと寝ているのに夜はずっと起きていている、というように昼と夜が逆転してしまうこともあります。
ペットにも人間と同じく「認知症」が存在し、ちょっとした態度の変化が認知症であることを教えてくれることもあります。認知症が進行すると、意味もなくぐるぐると歩き回ったり、いくらでもご飯を食べるようになったり、夜鳴きをするようになりますが、大切なのはあくまでも「ちょっとした変化」の時期に気がついてあげること。早期発見と早期ケアが大切です。今までと違う行動が見られるようになったら、その様子をよく観察して獣医師の先生に相談しましょう。


(運動の変化)
シニアになるとお散歩などの運動にも変化が出てきます。お散歩に行きたがらなくなったり、いつも座ってばかりいるなど、運動面で今までとは違う何かを感じたときには、早めに動物病院に相談しましょう。お散歩や運動時の変化が、心臓や関節の病気、もしくは感覚器の病気を教えてくれていることもあります。
高齢犬の心臓の病気としては「僧帽弁閉鎖不全症」(心不全について http://peterrace.jp/pre/sick/thema3/sick_20.html にリンク)と言われる弁膜症が挙げられます。心臓がうまく機能しなくなると、ちょっとした運動でもすぐに息が上がってしまいます。また、息が上がって座り込んだときに舌の色が紫色(チアノーゼ)に見えるようなら、すぐに心臓の薬(エナカルド http://peterrace.jp/product/db/ctg020/pdt_b01.html にリンク)を投薬する必要があります。
また、関節が変形して関節炎をおこしているときには、背中や腰を触ると痛がったり、歩き方が不自然だったりします。このようなときには、速やかに炎症をとり除き(ケトフェンhttp://peterrace.jp/pre/product/db/ctg030/pdt_c02.html にリンク)、関節を保護するような治療(ボマジールシニア http://peterrace.jp/product/db/ctg120/pdt_l05.html にリンク)を行う必要があります。
さらに、視力を失っていることが原因で、散歩や運動を怖がることもあります。老齢性白内障といって、眼のレンズの部分が白く濁ってしまう病気もシニア期に気をつけたい病気です。毎日のお散歩時に様子をよく観察し、変化が見られたらすぐに動物病院に相談しましょう。


(触れて分かる変化)
腫瘍(癌)は、歳をとるほど発症しやすい病気です。内蔵にできる腫瘍は飼い主さんの目では発見しにくいものですが、乳腺腫瘍や皮膚癌など体の表面にできる腫瘍は、飼い主さんでも早期発見が可能です。早期に発見できれば、早期治療を行うことができます。日頃からスキンシップやグルーミングを兼ねて、ペットの体によく触れるようにしましょう。そして、ちょっとでも気になる“できもの” (ペットの腫瘍について http://peterrace.jp/pre/sick/thema3/sick_24.html にリンク)を発見したら、早めに動物病院に相談しましょう。


(獣医師から一言)
ペットも人間も必ず老いを迎えます。老化そのものを止めることはできませんが、日頃の注意とケアでその進行をゆっくりにすることは可能です。若い頃以上にペットとよくコミュニケーションを取り、ちょっとした変化も見逃さないようにすることが病気の早期発見につながります。また、シニア期を迎えたら、それまで以上に定期的な健康診断を心がけ、常にペットの状態を把握しておきたいものです。ペットの幸せなシニアライフは、飼い主さんとの二人三脚で実現できるのです。